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嚥下内視鏡検査とは

「嚥下(えんげ)」とは、食物を飲み込む行為を指し、健康な人であればあまり意識をせずに行えますが、歳を重ねると、口腔内から喉、食道、胃に至る過程での機能が低下し、食べ物や水分を上手に飲み込めなくなってしまうことがあります。また、病気や怪我の後遺症として、嚥下機能が低下してしまうこともあります。このように、うまく咀嚼や嚥下ができなくなる状態を「摂食・嚥下障害」と言います。
摂食・嚥下障害により、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を引き起こすことがあります。誤嚥が原因で「窒息」や「誤嚥性肺炎」などのリスクが上がり、食事の度に危険が伴うようになってしまうのです。摂食・嚥下障害は、体外から見ただけでは判断ができませんが、「嚥下内視鏡検査」により的確に発見できます。

検査を行う必要性

実際に「食べ物を食べられる」ということと、「正しく飲み込める」ということは別の問題です。正しく飲み込むことができていないと、誤嚥がおこる可能性があります。日本人の死因の上位に上がる肺炎は、高齢になるほど誤嚥性肺炎が増えるため比率が高くなっているのです。
嚥下内視鏡検査は、鼻から内視鏡カメラを挿入したまま食べ物を食べていただき、口腔内での噛み具合や、嚥下の状態を確認します。摂食・嚥下障害や誤嚥の有無を評価したり、安全に摂ることができる水分や食べ物の量・形状等を確認したりすることが可能です。また、嚥下の状況を分析し、嚥下訓練や適切な食事の姿勢などをアドバイスします。

検査の手順

STEP 1嚥下障害のスクリーニング検査

反復唾液嚥下検査(RSST)、水飲み試験(MWST)や食物試験(FT)を行います。
必要に応じてファイバースコープによる嚥下内視鏡検査を行います。

STEP 2ファイバースコープによる嚥下内視鏡検査

嚥下内視鏡検査は、介護施設や住宅でも実施が可能です。
日常生活における普段の食事などを用いて検査が出来ます。
咽頭や喉頭内の貯留物の状態、嚥下反射の惹起性、反射前後の咽頭や喉頭内の食塊の状態などを評価します。

STEP 3食べる機能の評価分析

とろみを付けた食品やゼリー、普段の食事でむせやすい食品などを用いて、嚥下状態を確認した後、摂食嚥下機能の評価を行います。必要に応じて、摂食嚥下リハビリテーションの治療方針を立てます。

STEP 4摂食嚥下リハビリテーション

間接訓練や直接訓練を用いて、食べる機能の支援や食事時の姿勢、食物について最適な形態のアドバイスを行い、摂食機能の改善を図ります。

※舌の動きや筋力が低下している場合には「舌摂食運動補助装置(PAP)」を用いることがあります。舌摂食運動補助装置は、上あご(口蓋)の裏側に装着し舌の動きを支えることで、嚥下機能を補助する医療機器です。当院では院内に技工室があるため、比較的に短い時間で装置を作成することができます。
その他にも患者様の状況に合わせた運動補助装置がございます。

注意事項

  • ファイバースコープが鼻を通過する数秒間、ツンとした刺激を感じることがあります。
  • 検査の過程で検査用の食品を少量誤嚥してしまう可能性がありますが、安全に配慮した方法で行いますのでご安心ください。
  • 稀に鼻から出血することがありますが、少量ですのでご安心ください。

当院の嚥下内視鏡検査について

当院の嚥下内視鏡検査は、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の標準手順に則して実施します。ご不明点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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